ダイスの言うとおり

ダイスにはロマンがあるよな

ルール語り 1

 少し堅いお話。
 ルールというものについて。

 セッション中にルール的な突っ込みを食らうと「こいつルール至上主義者だな」 って思ってしまう人は読み飛ばし推奨。
 楽しくないこと請け合いです。
ルール < GM裁定


 これがいつでも成り立つかといえば、実はこれが成り立つTRPGシステムはほぼ存在しない。
 ソードワールドRPG(以下SW) の場合、ルールブックに「GM裁定は如何なるときもルールの記述に優先します」 という明確なルールがある。
 卵が先か、鶏が先かみたいな話になるが、ともかくSWではルールによって、GM裁定のルール超越が保障されている。

 もっとも、これにはSWが固定メンバーで続けて遊ぶことを念頭に置かれているシステムであるという前提がある。固定面子で続けて遊んでいると、GMもPLもお互いのスタイルが分かってきて、ある程度の馴れ合いやルール解釈が合致してくるから、「お互いの信頼に裏打ちされたその場のルール」 が出来上がっていくからだ。

 遊戯会のような毎回GMとPC、さらにPLまで変わるスタイルだと、話が大きく違ってくる。
 GMのマスタリング傾向とPLのルール把握程度、そしてPCの動き方なども毎回変わってくるため、「その場のルール」 はごく基本的なことを除いては存在しなくなる。そのため、ルールの適用に齟齬が生じる。


 簡単な例を挙げると、例えば戦闘中。モンスターを挟み撃ちにするPCたち。正面からは重戦士が、そして背後からは突付かれると弾け飛ぶ軽装のシーフが接近する。

GM「ふんふん。背後から近づくのね(まぁ戦闘行動のフレーバーだな)」
シーフ「そうそう。これくらいやらんと怖くて(背後からの攻撃は当然回避ペナあるよな。攻撃もできまい)」
GM「じゃあ(ころころ) 今回はシーフを狙った。攻撃点はさっき言ったとおり13。当たると13点痛い」
シーフ「背後なのに!」
GM「SWには向きによる攻撃回避のペナルティルールは無いけど?」
シーフ「わざわざ背後に回った努力を汲んでくれ!」
GM「特に何の判定もなく回り込んだよね…? 『回避ペナ与えたいので背後に回ります。どう判定すればいいですか』 くらい言ってくれれば…」
シーフ「(こいつルール至上主義者だな!)」
GM「(こいつマンチキンだな…)」


 こういうのは最悪のパターンだけど、わりと見かける光景。キャラプレイに走る余りにGMに確認を忘れるパターン。GMはルール準拠でマスタリングをしているのに、PLがルールの記述をすっぽかしている。
 逆にGMが唐突に「ルールブックに無いその場ルール」 を適用し、ルールブックの記述を念頭に行動していたPLの方が泡を食うという場面もよく見かける。


GM「ボスは禍々しく歪んだ真っ黒な刃を持つナイフをソーサラーに向かって投げるよ!『ふははは、道連れにしてくれる!』」
ソーサラー「いやちょっと待て。シーフが接敵してる。接敵してると投げ武器は使えないだろ」
GM「そうなの? でもここは美しさ優先で」
ソーサラー「わざわざ薄いシーフを接敵させた意味がねぇー!」


 GM裁定は確かにルールを超える。だが、唐突にやられるとPLにとっては著しい不公平感となる。フリーセッション制では、事前にどのルールを使わず、またどのくらいのルール無視をするかをGMが宣言しておく必要がある。
 GMとPLの間に共通のルール観がないのだから、これは必ずやっておくべきことだ。
 それも単に「GM裁定はあらゆる事柄に優先します」 という宣言だけだとGMの恣意で結果が振り回されるということに繋がるので、できれば「行動宣言ルールと構造物破壊ルールは使いません。向きによる回避・攻撃ペナルティを導入します。あとルール的に何かあったらその都度GMに確認してください」 くらい具体的に言っておくと、お互いに不公平感が少ない。

 結局、フリーセッション制で互いのルール観をどこに求めるかといえば、それはもうルールブックしかない。他に明確な合意が存在しないからだ。
 従って、遊戯会で遊ぶなら


ルール = GM裁定
(明確にGMの裁定がルールミスだった場合はルールが優先することもある)


 くらいの気持ちで居た方がいい。
 ルールブックの記述に従って黒幕の見当(モンスターが複数… 単独行動のミノタウロスじゃないな…) や作戦(ウィスプの知能は「なきに等しい」 だから、こちらの弱点を突く行動はないはずだ。強行突破!) を立てるルール重視タイプのPLに適当ルールのGM。あるいはその逆のパターン(GM「(出現頻度:まれ のモンスがぽこぽこ出るか! もっとルルブ読んで!)」)は、「遊んでいるのに楽しくない」 という最悪の事態を生む。

 一番いいのはGMがルールに精通し、PLのタイプに合わせて柔軟に対応を変えられることだ。
 それはすごくハードルが高いんじゃないかと思われるかもしれないが、実際ハードルは高い。
 ただ、GMをやるならルールくらいは把握しておいてもいいのではないか。損にはならないし、PLのタイプを選ばずにセッションを行うことができる。

 SWは初心者向けという見方があるようだが、実はそんなことはない。
 行動の指針がルルブに記載されておらず、GM裁定の範囲が広く、そしてヒロイックファンタジーといいつつ、PCはそこそこのヒーローを演じるに留まる。
 GMとPLたちの良識と暗黙の了解を高度に要求するSWは、実は充分に楽しむためには難易度の高いシステムだ。
 後に日本ではロールプレイ支援システムを搭載したFEAR系のTRPGシステムが多く排出されたのも、この辺が遠因になっている。

 GMもPLもオトナであることを求められ、数値バランスはシビア、キャラクターの能力はランダム。そしてルールは大雑把で細かいキャラプレイを反映する余地は少なく、GMの把握しておくべきルールは数多い。
 そんなSWでフリーセッションを遊ぶのなら、PL参加しかしないというあなたもルールブックを熟読してから参加してみてはいかがだろうか。
 それで楽しいセッションが得られるのなら安いものだと思うが。


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コメント

なんとも

色々あったのだなぁ、と思うポストですね…。
所謂「初心者向け」と呼ばれていたシステムほど、やり込み要素は大いに含まれているように感じています。
キャラクター作成時に余白が大きいものほど、それが顕著の様に。

遊戯会でいつからか、自分のセッションの時は最初にマスタリング指針を貼り付けるようになりましたね。
始まってから質問受けるの面倒(←この辺がダメだけど)なんで。
もっとも最近はキャンペにしか顔だしてませんけど…。

そして

このあたりのシビアさって僕にはないところ。表面上、言葉の上ではもっとも白銀さんのスタイルと異なるところなんですよね。

行動前にリスクと効能を知っていたほうが面白いはずですよね。ルールの指針があってこその戦術です。

まぁ僕は甘甘なんで基本的にPLの意図が通るようにしちゃてますね。数値的にどれくらい考慮するかは微妙ですけど、ルールにない行動の結果、効果は0ってことはないようにしてます。ちょっとでも考慮してもらえればPLも納得するってところもあるかと。

つまらない行動で課題が簡単になって一番おもしろくないのはPLのはず、セッションのおもしろい、つまらないはGMよりもPLに責任があるとか言ってしまうのはAの魔法陣に感化されすぎてるのかなぁ。

なんかいまいちまとまらない意見を垂れ流してしまいました。失礼。

れすりまくり

> 雪だるまさん

別に何かあったわけではないのですけれどもねw
まぁ、基礎ができていれば応用を利かせて遊ぶことができるよ、基礎ができてないと意見が食い違った時に、皆が納得できる落としどころになかなか辿りつかないよ、と簡潔に言えることをわざわざこねくりまわしただけのような気がします。

SWみたいな日本のTRPG黎明期には、今の現状は読めなかったんでしょうね。
いまや常識で判断しろ、と書いてあるルルブのほうが珍しい。


> おざぶさん

ルールにない行動の結果、効果は0ってことはないようにしたいんですけど、ちょっと考えればそんな行動に有利な修正は発生しねぇー!って提案も多いですよね。
そういうときにルール読みましょうよ、って言いたくなるわけです。

向きによる攻撃ペナなんてその最たるものなんで、例示に出しました。

背後からの一撃がペナになるほどSW戦闘は厳密じゃあない。なぜならば1Rは10秒間もあり、静止状態では3mまでの移動が認められている。つまり10秒間3m以内の範囲でどたばたやりながら殴りあったダメージの総計が出てくるのがSW戦闘の1Rで、向きなんてものを考慮するほど細かくはない。
というのはルルブ見れば分かりますよね。

セッションの面白い、つまらないは、私は「GMとPL陣双方に均等に責任がある」 と考えてますね。
どこをどうとは、なかなか切り分けが難しいんですけれども。

知力による…

ところで、いつか白銀さんに”知力順による行動宣言のススメ”でも書いてもらおうかと思いましてこんなことを言うのですけど、戦闘に関してはこれで解決することも多いのではないでしょうか。

モンスターの知力を忘れがちなのは、敏捷順に行動してるとPCのほうが早いことが多く、モンスターの行動は受動的で否応なしに決められてしまい、モンスターの行動方針について深くGMが考える機会がないからかもしれません。
一方、知力宣言ルールだとモンスターが先に行動宣言する機会が多いはずだから、知性がどんなものかルルブに書いてあると行動指針が分かって嬉しいですよね。

特殊な行動で修正がつくかつかないかっていうのも、行動する前の作戦会議の段階があると、「どのくらい修正つきますか?」って質問がしやすいかと。それに作戦会議のときに演出を入れることは少ないと思うので、成果をねらったことなのかただの演出なのかはっきりします。
また、行動したあと、修正つきませんってことになると行動の前提がひっくりかえるので揉めやすいかなぁって思います。行動前の段階で修正つきませんよって言っておけば別のことも考えるかもしれません。


そしてこのようにいいことだらけに見える知力順の行動宣言ルール、なぜつかわれないのかと言えば、オンラインセッションでは作戦会議に時間がかかるからですよね。
逆に言えば、メンバー間の作戦会議の時間を短縮する方法さえあれば、オンラインでこの方法を普及させられるかもしれませんね。

なんてことも思いました。是非知力順の~ススメをお書きくださいませw

お題を

いただいてしまった。
では次はそれで書きますぞぅ。

ルール的なことよりも私の思いを書くだけになるかもしれませんけれども。

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白銀

Author:白銀
TRPGと付き合ってはや十数年。
まさか結婚相手までTRPG者とは、TRPGで遊び始めた頃の白銀少年は知る由も無かった。

ルールブックの範疇で好き勝手に遊ぶので、ご一緒の際はよろしくどうぞ。

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