ダイスの言うとおり

ダイスにはロマンがあるよな

霧の街 第30話

 クリスを連れ帰ってサンドリーヌの依頼を受けることができるようになったため、サンドリーヌをキーパーに選択することが可能になった。
 現在のキーパーはアリアドネで、街の北西に拠点があり、周囲のパラグラフも大変便利がいい位置。ただしアリアドネ自身がかなりグレー。アッシュとしてはこれ以上アリアドネに付き合うかどうかは悩みどころ。しかしながらアリアドネ以外に街を脱出するツテはない。
 一方でサンドリーヌ館は街の南にあり、周囲の便も悪いうえに、こいつはハッキリと蛮族。人族と敵対していないが、白から黒になりかけているアリアドネとは別の意味でグレー。アッシュの悩みは尽きない。


~ 霧の街 現在図(アッシュ版) ~

(A-1) (露店市) (血染壁) (ダルクレム) ( サカロス ) (F-1)
(A-2) (闘技場) (娼婦街) (三色幕) (鮮血城) ( 廃屋 )
(A-3) (裸王様) ( キルヒア ) ( 牧場 ) (追剥路) (F-3)
( 港 ) (どぶ川) (麻薬窟) (翡翠搭) (帰らず) (叫び門)
( シェス湖) (施療院) (ヤム酒場) (路地裏) (袋長屋) (処刑場)
( シェス湖) (泉広場) (灼熱踊) (荒庭園) (黒の丘) (F-6)
( シェス湖) (B-7) (C-7) (明灯館) (奴隷市) (F-7)



SSっぽいモノローグ⇒
ゲーム記録⇒



「働きませんことって…?」

 あたしはサンドリーヌにぼんやりと訊き返した。

「アリアドネの正体を知った以上、月夜蜂に戻る気にはなりませんでしょう?」

 あたしはサンドリーヌの言葉に思わず席を立ちあがる。

「正体って… まだアリアドネがそうだと決まったわけじゃ! それに…!」

「それに?」

「… あたしには、この街を出るっていう目的がある。アリアドネは、依頼の見返りにオルゾゾに紹介してくれるって言ったもの。
 アリアドネの正体がなんだって、アリアドネの依頼を果たして、そしてオルゾゾを紹介してもらって、そしてこの街を出る。
 それがあたしの目的だもの」

 半ば自分に言い聞かせるように、あたしは言葉を選んだ。
 そうだ、アリアドネの正体がなんだって関係ない。あたしの目的はアリアドネと仲良くすることでも、月夜蜂として働くことでもない。
 この街を出たいだけなんだ。

「そうでしたか」

 サンドリーヌはゆっくりと頷いた。

「あなたはこの街を出るのが目的で、そのための手段は問わない、と、そう仰るのですね」

「まぁ、そういうことになるかも」

 手段を問わないとまで言い切られるとさすがに腰が引けるけど。

「でしたら、わたくしもこの街を脱出する経路をひとつ存じています。わたくしのために働くのなら、教えてさしあげます」

「え…」

 あたしは完全に言質を取られた恰好になった。
 この街を出るためにアリアドネに協力している、と言った以上、サンドリーヌがこの街を出る方法を知っているのなら、サンドリーヌのために働いてもいいことになる。

「そ、それはどういう経路なの?」

「今はまだ、教えられません。その経路を使えるようにするために、あなたに働いてもらうことになります。
 経路が存在することは分かっています。ですが、その経路を使うための小道具が必要になる。
 わたくしが依頼するのは、そういった情報集めになります」

 街からの脱出経路を使うための情報集め?
 蛮族であるサンドリーヌがなぜそんな情報を集めているのだろう。
 考えられることは、蛮族であるサンドリーヌが、人族がこの街から逃げるための経路を調査し、それを潰そうとしている…?
 それとも、サンドリーヌ自身がこの街から何かの理由で脱出しようとしている…?

「とりあえず、仕事の内容を具体的に聞かせてほしい、かな」

 あたしは判断を保留した。
 今は何も断言できない。だったら、判断できる材料がそろうまではサンドリーヌの依頼をやってみるのもいいかもしれない。

「まずは”魔神使いの” ザバールへこの手紙を渡してください」

 そういうとサンドリーヌは封蝋された手紙を卓上に置いた。
 見たこともない真っ白な紙で、この紙の値段であたしの何日か分の食費になってしまうんじゃないだろうか。

「そしてもうひとつ、この街のどこかに”夏の思い出” クレア・クレアというエルフがいます。彼女からシェラシースの光について聞き出してきてください」

「クレア・クレアからシェラシースの光について?」

 あたしはクレア・クレアとは面識がある。シェラシースの光についてもナヴァリアから聞いたことがある。
 でもクレア・クレアからは、シェラシースの光については聞いていない。ひょっとしたらナヴァリアの情報とは食い違っている可能性もあるし、ここは余計なことは言わずに請けておくことにした。

「あと、余力があればもうひとつ」

 ザバールへの手紙をどこにしまい込んだものか考えているあたしに、サンドリーヌが遠慮がちに口を開いた。

「翡翠の塔にある運河を利用するのに必要な運河通行証を入手してください」

「運河、通行証…」

 ザバールへの繋ぎにシェラシースの光、そして運河通行証。
 ザバールは霧の街と外を行き来する商人だし、シェラシースの光は対蛮族への切り札ともいえる。そして運河の通行証。運河は翡翠の塔が建つ島をぐるりと周ってシェス湖へ繋がっている。
 正直、ここまで露骨な依頼だとは思わなかった。
 クリスが心配そうにサンドリーヌを伺っているのが目に入る。そりゃ自分の主人が赤の他人にここまで赤裸々な依頼をしていたら、一蓮托生の奴隷としては気が気じゃないだろう。

「わかった。ザバールへ手紙を渡して、クレア・クレアにシェラシースの光について聞く。あとは手に入ったら運河通行証を持ってくる。以上ね」

「よろしくお願いします。今後あなたが当館にいらしたときは宿泊場所その他の提供はさせていただきますので」

「あ、それは助かるかな。この辺りはヤムールの酒場も袋小路長屋も遠いし」

「よろしければわたくしの奴隷になっていただいても構いません」

 奴隷。
 いまの浮民という立場よりも動きやすくなる事は確かだけれども、反面、気軽にあちこち顔を出しづらくなるのも確か。
 奴隷である利点と、浮民である利点とを天秤にかける必要はある。
 奴隷が一番有利なのは、蛮族に襲われにくくなるということだけれども、それでも襲われるときは襲われるので、どちらがどうとは一概には言えなさそう。

「とりあえず、今はこのままで。サンドリーヌの力を借りたくなったときに改めてお願いするということでいいかな」

「分かりました。ではそのときに改めて」


 翌日、あたしはアリアドネに依頼されていた荷物の配達をまだ完了していないのを思い出したので、サンドリーヌの館を辞して娼婦街に向かった。



「あれ、ここ、どこだろう…」

 通ったことのない道を使ったせいか、完全に位置を見失ったみたい。
 入り組んだ細い路地がひたすら続いていた。
 何かに行き当たるだろうと思って適当に歩いていく。
 いつしか日が傾いて路地は次第に暗闇に包まれ始めていた。

「やだな… こんなところで夜になってほしくない…」

 焦りを感じながら小走りに路地を抜けていくと、唐突に粗末な小屋が立ち並ぶ広場に出た。
 小屋を覗くと、地面に布が敷かれていて、人が数人横になっている。一瞬死体かと思ってぎょっとしたけど、息はしているようだった。

「こんなところで何を…」

「見りゃあわかるでしょ? 病人を治療してるのよ。ここは施療院なんだから」

 突然後ろから声がかかった。振り向くと、ドワーフの女性が腰に手を当てて呆れたような顔をしている。

「ここは無料の施療院よ。無料だから大したことはできないけど。あたしはウルスラ。あんたは?」

「あたしはアッシュ」

「そう。じゃあアッシュ。もう日も暮れるわ。ここで泊めてあげてもいいけど、ここのモットーはね」

「モットーは?」

「働かざるもの食うべからず」

 ウルスラがそういって指差した方には山のような洗濯物が積まれていた。



 サンドリーヌの奴隷になると、なんと毎回宿泊に来るたびにラミアであるサンドリーヌに血を吸われるというとんでもないオマケつき。
 無料で泊まれるのは大きいのだが、無料で泊まるだけなら風の旅団でも袋小路長屋でもできる。はっきり書いてないけど、サンドリーヌ館は食事も面倒見てくれるのかな。
 SSでは省略しているけれども、空白地C-7、B-7とオープンしながら進んで施療院へ到着している。
 C-7はブラグザバス神殿で特に何も起きず、セイレーンに追い返されて終わり。
 B-7は牢獄で、導入によっては意味があるパラグラフだが、アッシュにとっては何の意味もなく終わり。ランダムイベントは工事現場だったので、これもドスルー。


< 第30話 結果 >


・★★★獲得
・空白パラグラフC-7に「ブラグザバス神殿」 をプロット
・空白パラグラフB-7に「牢獄」 をプロット



(A-1) (露店市) (血染壁) (ダルクレム) ( サカロス ) (F-1)
(A-2) (闘技場) (娼婦街) (三色幕) (鮮血城) ( 廃屋 )
(A-3) (裸王様) ( キルヒア ) ( 牧場 ) (追剥路) (F-3)
( 港 ) (どぶ川) (麻薬窟) (翡翠搭) (帰らず) (叫び門)
( シェス湖) (施療院) (ヤム酒場) (路地裏) (袋長屋) (処刑場)
( シェス湖) (泉広場) (灼熱踊) (荒庭園) (黒の丘) (F-6)
( シェス湖) ( 牢獄 ) ( ブラグ) (明灯館) (奴隷市) (F-7)


« エリート試験を終了|Top|言いたい箇所はどこか »

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://silverwolf5218.blog55.fc2.com/tb.php/458-f218bf13

Top

HOME

白銀

Author:白銀
TRPGと付き合ってはや十数年。
まさか結婚相手までTRPG者とは、TRPGで遊び始めた頃の白銀少年は知る由も無かった。

ルールブックの範疇で好き勝手に遊ぶので、ご一緒の際はよろしくどうぞ。

名前:


本文: