ダイスの言うとおり

ダイスにはロマンがあるよな

霧の街 第13話

 ついに冒険者レベルが3レベルになった。ということは特技をひとつ選択しなくてはならない。
 候補に挙がったのは次のとおり。

・回避+1
・命中+1
・武器習熟/スピア
・武器習熟/ソード
・鎧習熟/非金属鎧

 回避と命中については、地味だが確実に効果がある。フェンサーは防御力には期待できないので、回避力は1でも多く得たいところ。また命中率の悪い武器を使っているアッシュには命中補完も効果的。攻撃は最大の防御。先に殴り倒せば攻撃は受けない。
 武器習熟でスピアを選択するのはAランクスピアのピラー狙い。本当ならSランクのパルチザンを狙いたいが、ソロプレイで武器習熟二段は武器戦闘に偏った戦い方を考えた技能選択をしなくてはならず、コンジャラーフェンサー同時上げのアッシュには厳しい。
 武器習熟でソードを選択した場合はAランクのディフェンダー、または将来的な筋力の成長を見越してSランクのピアシング(武器習熟一段でフェンサーがピアシングを使うために必要な筋力は30近い)
 鎧習熟を選択した場合は回避が上昇するアラミドコートを狙う。

 まずスピアについて考える。ピラーをフェンサーが持つときの魅力は、何よりもクリティカル値。威力13のクリティカル値8が現在の状態より強くなるかどうか。
 実は、武器単体で考えるとフレイルの威力25でクリティカル値9(フェンサーだから) というのは期待値でピラーに勝る。もちろんこれはフレイルを両手で使っているときの話で、フレイルを片手で持ったときは及ばない(ついでにピラーを持つなら習熟による追加ダメージの上昇もある) が、それでも特技を費やして補完するほどの性能差かというと悩む。
 次にソードだが、これは堅実な性能。有力候補。
 鎧習熟については悩むところだが、アラミドコートの防御力の低さが気にかかる。回避上昇は大きいが、これは片手武器に盾を持つことで補完できる。現在のところ武具を購入できるパラグラフに行き当たっていないが、当たったら盾は買うつもりなので、アラミドコートの魅力は薄い。もちろん盾+アラミドコートで回避をさらに高めることもできるが、そこまで回避に特化したところで回避は水物。出目4以下でしか食らわないはずのレッドキャップの群れにボコボコにされた過去を思い出す。
 結局のところはソード習熟にしようとして、はたと思いとどまる。
 フレイルからディフェンダーに持ち替えた場合、以下のようになる。

 命中↑(上昇) 威力↓(低下) クリティカル→(維持) 追加ダメージ↑(習熟分で上昇)

 バット。ハウエバー。世の中には魔法の剣というものがある。ロングソード+1(Bランクソード) とディフェンダー(Aランクソード)をロングソード+1視点で比較する。

 命中↑(上昇) 威力→(片手ならディフェンダーだが、ロングソードは両手持ちも可能) クリティカル→(維持) 追加ダメージ→(習熟と魔法でとんとん)

 値段は段違いだが、ロングソード+1ならディフェンダーを上回る性能を発揮できる。しかもBランク剣なので習熟を取る必要がない。ということは別の特技を持てるということだ。
 ふとアッシュの技能構成を見て思いつく。
 アッシュはコンジャラーフェンサー同時上げで、魔力は高め。ということは魔力撃の際の追加ダメージがでかいということだ。
 3レベルフェンサーの身で、魔力撃込みの追加ダメージは二桁に届く。これだ。
 もちろん魔力撃のペナルティ(抵抗の低下はともかく、回避の低下が痛い) は怖いので、ここぞという場面で使うことになりそうだが、それはそれで必殺技感が増してかっこいい。
 というわけで3レベルで習得した特技は当初候補になかった魔力撃。これぞ魔法戦士のチョイスと自画自賛。

SSっぽいモノローグ⇒
ゲーム記録⇒



 アリアドネが蛮族たちの様子を見てこいといったのは、灼熱の踊り子亭よりもさらに南の、霧の街外縁部だった。とりあえず南を目指して歩いていく。
 麻薬窟へさしかかったとき、なにやら人だかりができているのが見える。真ん中で声を張り上げているのは蛮族のようだけど、集まっているのは奴隷や浮民のようだった。なんとなく興味をそそられて、そちらへ足を向ける。

「さぁさぁ、誰かいねぇか。滅多にねぇ機会だぞう」

 一人のレッサーオーガがノコギリのような剣を振り回しながら叫んでいる。傍らには項垂れた奴隷が三人控えていた。

「こいつらのうち、500ガメルで一人の首を切らせてやるぞ! 三人なら1500ガメルだ! さぁ誰かやんねぇか!」

 正直、あたしは後悔した。
 目の前で無駄に人が殺されるのは灼熱の踊り子亭を思い出す。かといって、1500ガメル払って奴隷を逃がそうとしても、このレッサーオーガが見逃すとは思えない。そしてあたしにはレッサーオーガと戦う理由がない。
 場は奇妙な興奮に包まれていた。集まっている人たちは目で牽制しあってる。こんな凄惨なイベントでも、この街に生きる人たちには娯楽になる。
 あたしがどうしたらいいのか逡巡していると、名誉蛮族の腕輪をつけた女が、奴隷達に人垣を押しのけさせて前に出ようとしていた。その顔は暗い喜びに歪められている。
 同じ人族なのに、あんな顔をして人を殺せるなんて信じられない。信じられないけど―― 周りで見てる人たちとの違いは、手を出すか出さないかの違いでしかないんじゃないのかな。それはあたしを含めて。

「あんたがやンのか? 好きモンだなぁゲハハハハハ」

 レッサーオーガが剣の柄を持って名誉蛮族に渡そうとしたとき、あたしは意を決した。

「待って」

 前に進み出る。

「おぉ、なんだ? お前がやンのか? 500ガメルだぞう」

 レッサーオーガがあたしの方に剣の柄を向けた。けど、あたしはレッサーオーガを無視して前に出ようとしていた名誉蛮族の方を向いて言った。

「同じ人族なのに、そんなに楽しそうに人を殺せるの?」

 周囲の人垣がざわめく。名誉蛮族の女は、虚を突かれたような様子だったけど、すぐに不機嫌そうな顔になった。
 あたしは言葉を重ねる。

「あたしはあなたみたいに、人を喜んで殺すようなことはできない。でも」

 レッサーオーガを横目で見ると、胡散臭そうな顔をして半眼であたしを睨んでいた。邪魔するようならこいつ殺しちまおうかな、なんて考えているのが手に取るように分かる。

「でも、ここで黙って見過ごすようなら、あたしはあなたと同じ。そんなのはイヤだから」

 灼熱の踊り子亭で焼き殺された浮民の絶叫を思い出す。そして意味もなく蛮族たちと戦わされたあたし自身。
 あんなことはもうイヤだ。見るのも。見られるのも。

「あーごちゃごちゃうっせぇな。青臭ぇことをべらべらべらべらとよ」

 レッサーオーガが剣を肩に担ぐようにしてあたしに向き直る。

「てめぇ、周りの皆さんをよく見ろ? 無力で貧相で虚弱な皆さんに、見守る以外どうしろってぇんだ? 俺らが提供するイベントを、泣きそうなツラしながら興奮で目だけギラギラさせて見聞する以外に何かしろってぇのか? 人は浅ましいモンなんだよ」

「そうかもしれない。でもあたしはイヤ。絶対に!」

 自分でも驚くほど強い声が出た。目の前のレッサーオーガとジャバディーンの顔が重なる。

「そうかい。お前鬱陶しいな。ぶっ殺してやるよ」

 レッサーオーガが武器を構えると同時にあたしは地を蹴った。互いの武器が激しく噛み合う音が響いた。



 レッサーオーガは強敵だ。武器だけではなく、真語魔法も使う。そして意外に身が軽い。
 牽制でならなんとか当てられても、いざ急所を狙った一撃を繰り出すとことごとくかわされてしまう。そしてレッサーオーガの一撃は、かわしそこねると骨が折れそうなほどの衝撃だった。それを何度となく繰り出してくる。
 でもあたしは諦めなかった。時折レッサーオーガが唱えてくる真語魔法。武器での攻撃に比べると、魔法での打撃は全然大したことがない。みすみすあたしに一手くれているようなものだ。
 何度目かの真語魔法を隙と見たあたしは、一気に勝負をかけた。
 操霊魔法の威力に上乗せする魔力。その魔力を武器に通すことで、武器での打撃に魔力を上乗せする技がある。誰が呼んだか魔力撃と、そのまんまなネーミングがなされているそれを、あたしは今までモノにしようと練習だけは積んでいた。
 レッサーオーガの真語魔法が産み出した刃を跳ね除け、懐に飛び込む。両手で握った武器に意識を集中し、武器の中に魔力の通り道をイメージする。ぼんやりと武器が魔力の光に包まれた。同時に足腰からがくん、と力が抜ける。武器を振るいながら魔力を扱うのは、想像以上に難しい。けど、これならいける。

「てめぇ、魔力を…!」

 レッサーオーガも系統は違うとはいえ魔法を使う者らしく、あたしがやろうとしていることを見抜いたようだった。
 同時に、あたしの武器に込められた魔力の威力も。

「てめ、よせ、やめてとめてやめてとめてやめて! とめった!」

 会心の当たりではなかった。けれども、レッサーオーガの体はひしゃげ、地面に叩きつけられて跳ね上がった。そのまま痙攣して動かなくなる。
 周囲でわっと歓声が上がった。
 肩で息をしながらレッサーオーガが持っていた奴隷の首輪の鍵を使って、奴隷達の首輪を外す。

「負けない…!」

 心の中で呟く。
 無念そうなレッサーオーガの死に顔に、ジャバディーンの顔が重なって消えた。



 ランダムミッションで首切り蛮族と戦わされたわけだが、この蛮族は通常より一段階強いものがボス扱いで出現する。
 正直、ジャバディーンのところへ行っていなければ自重してスルーしたかもしれないが、アッシュ的にトラウマなのでトラウマ克服のために戦うのが主人公というものですようわでもレッサーオーガ強ぇー
 SS中で言っているように真語魔法のときが隙。大して魔力が高くないため、抵抗さえすればチャンスに早変わり。

 とどめは覚えたての魔力撃で。美しい展開。

 しかしちっとも進まない。どうしよう。


< 第13話 結果 >


・★獲得
・クエスト「夢薬販売委任状の入手」 を実行中
・ランダムミッション「蛮族の偵察」 を実行中




(A-1) (B-1) (C-1) (D-1) (E-1) (F-1)
(A-2) (B-2) (娼婦街) (D-2) (E-2) (F-2)
(A-3) (B-3) ( キルヒア ) (D-3) (E-3) (F-3)
( 港 ) (B-4) (麻薬窟) (翡翠搭) (帰らず) (叫び門)
( シェス湖) (B-5) (ヤム酒場) (路地裏) (袋長屋) (F-5)
( シェス湖) (泉広場) (灼熱踊) (D-6) (E-6) (F-6)
( シェス湖) (B-7) (C-7) (D-7) (E-7) (F-7)


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白銀

Author:白銀
TRPGと付き合ってはや十数年。
まさか結婚相手までTRPG者とは、TRPGで遊び始めた頃の白銀少年は知る由も無かった。

ルールブックの範疇で好き勝手に遊ぶので、ご一緒の際はよろしくどうぞ。

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