ダイスの言うとおり

ダイスにはロマンがあるよな

RE:CYBORGを観てきた


 サイボーグ009といえば言わずと知れた石ノ森章太郎の傑作のひとつだが、2012年に封切られたサイボーグ009 RE:CYBORGを心待ちにしていた人も多いだろう。
 押井塾で才能を認められた神山健治という監督を得て、リメイクというよりもリニューアルされた009たちがスクリーンを所狭しと駆け回る、その期待に胸を膨らませなかったファンはいない(と思う。程度の差はあれ)

 そんなわけで、仕事をサボってでも観に行くのはファンとして当然であり、むしろ必然ですらある。以上自己正当化終了(コラ)

 以降、ネタバレ等も含むので畳んでおきますよって、見てから文句言われてもわしゃ知らん。


 早速感想を述べたい。

「期待していたファンに全力でクソを投げ付けた問題作」「最高の材料を用意し、至高の宮廷料理を目指し、できあがったのは最低のクソ」「最悪なら最悪で最悪の作品として記憶に刻まれる類の最悪であるならまだしも、数ヶ月も経てば誰も覚えていない程度のもっとも駄目な部類のクソ」

 そんなところか。

 石ノ森作品、特にサイボーグ009の根底に流れるメッセージ性がある。それは人間とは何なのかと読者への問いかけ、誰が為にという主人公たちへの問いかけ、神や自然、人の意思というものに投げかけ続ける石ノ森章太郎が抱き続けた問いかけなどなどに代表されるものだが、今作は特に「天使編(あるいは神々との戦い編)」 というもっともメッセージ性が表に出た作品のリニューアルである。であろう。たぶん。
 神々の意思が人間という存在を拒絶したとき、人間の悪しき部分を討ってきたサイボーグたちはどうするのか。その悩み苦悩を描く大作となる作品だった。序章部分を描いた時点で構想が大きくなりすぎ、収集がつかなくなったために断筆。その後長い時を経て構想ノートをまとめたところで石ノ森章太郎は他界した。天使編の完結編は現在弟子たちの手によってWeb連載されてる(連載中)

 で、それをリニューアルしようとしたのはいいが、神という単語は出てこない。代わりに彼の声とかちょっとキケンな香りが漂う表現をしている。のはいいとして、大雑把にストーリーを説明するなら、謎の電波(というかデンパ) 的に彼の声を 受信した 聞いた人たちが各地でテロを繰り返し、食い止めようとしたサイボーグたちはMMR的な展開を経て謎の推理から彼の声とやらが原因であろうと結論付け、それはともかく発射された核弾道ミサイルを食い止めようとサクッとイージス艦を乗っ取って対弾道ミサイル弾で迎撃し、失敗。テレポートで送り込まれた009がこれを食い止めようとして叫ぶシーンが見せ場。この後飛んできた002もろとも流れ星になって地球に降るシーンは原作の超有名シーンのオマージュであろう。
 その後なぜか全員助かって合流シーンでみんなで納得するクソみたいな展開が付け足される。理屈とか理由とかは無い。あるのかもしれんが視聴者は誰も納得しない。たぶん。

 突っ込みどころは多数ある。
 いまどき軍産複合体はねーだろとか、アメリカを悪役にしてホントにそんなことできんのかとか、そもそも宇宙まで飛んできたジェットはどうやって飛んできたんだとか、自由落下時に加速装置意味ないよねとか、マッハ3で走るジョーに追いつく爆風ってなんなのよとか、加速したからって爆撃機からの落下の衝撃に耐えられるとは思えんなーとか、etc.etc...

 だがそんなものはどうでもいい。石ノ森作品の時代背景とかあくまでもSFであることを加味すればこんなものはどうということもない。
 が、映画作品として見たときにこのオチの持って行き方はどうなのか。そこは脚本の腕の見せ所であって石ノ森作品だからという言い訳は通用しないし、そもそもオチてないよねという。
 最後に天使の化石を目にしてジョーが呟いた台詞に全力で突っ込みを入れずにはいられないし、その突っ込みすらオチには無関係というやり切れなさ。
 途中の展開は004が008の調査ノートをひたすら読み上げることで考察が重ねられ、他に考察の材料はほとんどない。この展開のしかたは知っている。この場に必要だったのは深刻な顔で頷く003と005ではない。キバヤシだ。キバヤシが必要だったのだ。

 見所はある。
 003がエロいとか(展開的には不要な気はするが、あんなもんアイキャッチだ)、003のおっぱい(というか谷間) とか、005がパワーキャラらしく活躍するとか、006が004と肩を並べて戦うとか、002のファンは感涙モノの出番の多さとか、最新のCG技術を駆使したアクションシーンとか、リニューアルされたイケメンたちとか。
 でも007と008のファンは泣いていい。映像化が面倒そうな007は序盤で切られ、出番を作りにくそうな008は中盤始めでようやく顔を見せて即切られる。

 また戦闘機のドッグファイトシーンはミリヲタならのけぞり、頭を抱えて泣き叫ぶだろうが、一般的にはそれなりに迫力もあろう。ミリヲタには評判のよい軍事ライターである岡部いさく氏が協力しているみたいだし(ただし、恐らく岡部氏に意見と知識を聞いただけであって突っ込みや指摘は無視していると思われる。ふざけんな)

 神山健治監督がどうすべきだったのかは誰にも分からんと思うが、個人的には009という名を借りて、やってみたかったことやってみました(映像的に) という以上のものは感じられなかった。ストーリーは難解というより空中分解しているので、たぶん始めから結末をつけることは諦めている。
 川井憲次の音楽も最初は盛り上がるが、途中から作品の方向性が迷走しているのでどうにも合わない。つか、これ音楽作ってるほうも諦めてんだろな感は強い。
 結論として1800円払って観る価値はなかったが、TOHOシネマズのプレミア館をほとんど貸し切り状態で観られたので、まぁこの1800円については不問としたい。もう一度観るかと問われたら180円なら観る。

 とは言え、これでサイボーグ009という作品が汚されたとか、そういうことを言うつもりはまったくない。
 そもそも原作はヨミ編で終わってると石ノ森も言っている。
 後に続く人たちが009をリメイクなりリニューアルするならもちろんファンとして観に行く。ダメなら文句を言うし、良ければ感動を伝える。
 まぁそれだけのことではあるね。

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まとめ【RE:CYBORGを観てきた】

 サイボーグ009といえば言わずと知れた石ノ森章太郎の傑作のひとつだが、2012年に封切られたサイボーグ00

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白銀

Author:白銀
TRPGと付き合ってはや十数年。
まさか結婚相手までTRPG者とは、TRPGで遊び始めた頃の白銀少年は知る由も無かった。

ルールブックの範疇で好き勝手に遊ぶので、ご一緒の際はよろしくどうぞ。

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